1963年/フランス/121分
監督/アンリ・ヴェルヌイユ
原作/アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ
主演/ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、
ヴィヴィアーヌ・ロマンス
1963年度ゴールデングローブ外国語映画賞

地下室のメロディー

ジャン・ギャバンとアラン・ドロンといえばフランス映画最高の顔合わせであるが、その二人が初めて共演したのがこの作品。ベテランのジャン・ギャバンと新進のアラン・ドロンの魅力の対比もさることながら、ミシェル・マーニュの音楽も実に効果的である。 五年の刑を終えて出所した老ギャングのシャルルは、足を洗ってくれと縋る妻ジャネットをふりすてて、昔の仲間マリオを訪ねた。そしてカンヌにあるカジノの賭金を強奪するという大仕事に取りかかる。 相棒として刑務所で目をつけていた若者フランシスと彼の義兄ルイを仲間に入れた。賭金がどのように金庫に運ばれるのかをたしかめ、シャルルは現場での仕事の段取りと各自の役割がきまった。 周到な準備と大胆な行動のすえに強奪は成功したかにみえたが・・・。


1966年/イタリア/92分
監督/セルジオ・コルブッチ
主演/フランコ・ネロ、エドワルド・ファハルド、
ロレダナ・ヌシアク
続・荒野の用心棒

マカロニ・ウエスタンの代表作。フランコ・ネロはこの作品で一躍、スターとなった。冒頭に棺桶を引きずって登場するヒーローにも驚かされるが、ラストの壮絶なガン・ファイトもまた伝説的であり、セルジオ・コルブッチ監督の演出はタランティーノらに大きな影響を与えた。 メキシコの国境に近い小さな村では、ジャクソン一派とウーゴ将軍一派が激しく対立していた。そこに立ち寄ったジャンゴが混血娘マリアをジャクソン一派から助けた事により、彼は、その対立争いに巻き込まれていく。 1人対40人、棺桶から出されたジャンゴの機関銃。政府軍から掠奪した黄金を独り占めしようとするジャンゴへの残酷なリンチ。そして墓場での大決闘と見せ場連続のマカロニ・ウエスタンの醍醐味。

1964年/日本/92分
監督/田中徳三
脚本/藤本義一
主演/田宮二郎、天知茂、江波杏子
大映映画

宿無し犬

クールでエゴイスティックな魅力の田宮二郎が見せるもうひとつの顔は「悪名」の勝新太郎の相棒役で見せた軽妙でスマートなチンピラ役。一匹狼のアウトローが活躍する「犬シリーズ」は田宮のそうした魅力全開で、これはシリーズ第1作。田宮演じるガンマニアの鴨井大介が繰り広げるアクション、ファッションセンスが注目され人気を博した。また、天知茂演じる刑事との掛け合いも見どころである。 鴨井大介が、母親の墓参りで高松へ来てみると、墓場はゴルフ場になっているのが頭にきて、その悪徳不動産屋に殴りこみをかけようとする。この組とライバルの沼野観光に傭われて大阪に舞い戻った大介だったが、沼野のインチキなやり方に嫌気が差し、元の一匹狼に。やがて大介は高松で一目ぼれした女と出会って血を躍らすが、女には身の危険が迫っていた。 得意のハジキ一丁で命を賭けた取引に赴く大介だったが…。

2005年/韓国/121分
監督/キム・ジウン
主演/イ・ビョンホン、キム・ヨンチョル、
シン・ミナ

甘い生活

主演のイ・ビョンホンについては改めて紹介するまでもあるまい。韓流四天王の一人であり、CM出演、写真集、イベントなど日本での活動も活発で韓流を象徴する存在でもある。イ・ビョンホン自らが代表作と称する「甘い人生」では、映画評論家協会賞をはじめ3つの主演男優賞を受賞。作品のタッチはアラン・ドロン主演の暗黒街を舞台のフレンチ・ノワール・タッチであり、2006年にフランス政府から文化芸術勲章を授与したことは、この作品と決して無縁ではあるまい。 ソウルを一望できる一流ホテルの総マネージャーを務めるソヌは、裏社会で絶大な力を持つボスの信頼を一身に受けていた。ある日ソヌは、ボスからある女性の監視を依頼されたことから彼の人生は大きく狂ってくる。人を愛したことのない男の一瞬の選択と命がけで愛する者を守る究極のラブストーリー。

1966年/日本/150分
監督/山本薩夫
原作/山崎豊子
主演/田宮二郎、田村高廣、東野英治郎、
藤村志保
1966年度キネマ旬報ベストテン第1位
大映映画

白い巨塔

脚本は数多くの黒澤作品を手がけた橋本忍。監督は「真空地帯」、「戦争と人間」など社会派の山本薩夫。日本映画最高のコンビである。 主演の田宮二郎はまさに当たり役。優れた医療の腕を持ちながらも傲慢不遜な財前五郎役は彼以外に考えられないほどである。 現代医学のあり方と大学病院の内部抗争にメスを当て、教授選考会の政治的な駆け引きを中心に野心渦巻く人間関係がダイナミックに描かれる。 大阪の国立浪花大学医学部助教授、財前五郎は、癌手術の権威で次期教授の最有力候補とされていた。財前五郎が学内、学外で認められ面白くないのは、五郎の上司である東教授だった。五郎は週刊誌に写真入りで取り上げられるなど目立つ存在になっており、今や浪花大学第一外科は財前外科とさえ言われる様相だったのだ。

1959年/フランス/110分
監督/クロード・シャブロル
主演/ジェラール・ブラン、
ジャン=クロード・ブリアリ、
ジュリエット・メニエル
1959年ベルリン映画祭金熊賞受賞

いとこ同志

2009年はヌーヴェル・ヴァーグ50年という節目の年。ヌーヴェル・ヴァーグといえば、ゴダールの「勝手にしやがれ」とトリュフォーの「大人は判ってくれない」を思い浮かべる人は多いであろう。しかし、この年フランスで最もヒットしたヌーヴェル・ヴァーグの作品は、それらの映画ではなくこの「いとこ同志」であった。この映画は、フランスの年間興行収入においてナンバー1に輝いたのである。 受験の為にパリへとやって来たシャルルは、いとこのポールの家に同居させてもらう。熱心に勉強に勤しむシャルルの前で、ポールは女を引っ張り込むなど遊びに夢中になっている。そして、万事に要領のいいポールは、シャルルが不合格となった試験にさえもあっさり合格してしまう。そんな不条理に、シャルルは次第にいらだちを募らせていった……。