1993年/フランス、ニュージーランド、オーストラリア/121分
[監督] ジェーン・カンピオン
[主演] ホリー・ハンター、アナ・パキン、ハーヴェイ・カイテル
★第46回 パルム・ドール
ピアノ・レッスン

オーストラリア映画として女性監督として初のパルム・ドールを受賞した作品。アカデミー賞と合わせて5部門を受賞。19世紀半ばのニュージーランドを舞台に、ひとりの女と2人の男が一台のピアノを媒介にして展開する、三角関係を描く。
スコットランドからニュージーランドへ、エイダは入植者のスチュワートに嫁ぐために、娘フローラと一台のピアノとともに旅立った。口がきけない彼女にとって、ピアノは分身だった。だが、迎えにきたスチュアートは、ピアノを浜辺に置き去りにする。スチュワートの友人で原住民のマオリ族に同化しているベインズは、彼に提案して自分の土地とピアノを交換してしまう。ベインズはエイダに、ピアノをレッスンしてくれれば返すと言う。初めはベインズを嫌ったエイダだったが、レッスンを重ねるごとに気持ちが傾いていった。。



1973年/フランス、チェコ/72分
[監督] ルネ・ラルー
★第26回 特別賞
ファンタスティック・プラネット

アニメーション映画として初めて審査員特別賞を受賞し、後に世界中に影響を与えた作品。フランスの代表的SF作家ステファン・ウル「オム族がいっぱい」を原作とする長編アニメーション映画。
巨大で、全身真っ青で目だけが赤いドラーク族が支配し、人間は虫けら同然の惑星。人間の赤ん坊がドラーグ族の知事の娘ディーヴァに拾われ、ペットとして育てられた。テールと名付けられた赤ん坊は少年となり、彼女が使用している学習器をこっそり使い、この惑星についての知識を深めていく。彼は彼女が瞑想の儀式に入った隙に学習器を持ち、逃げ出し、隠れて暮らす人間たちに様々な知識を広めた。やがてドラーグ族が人間狩りを開始。知識を得た人間たちは、ドラーグ族が捨てたロケットを改造して別の惑星へ移住を計画。その折、テールたちは、ドラーグ族の種の保存の秘密を知り、反撃に出る。


1983年/イタリア、フランス、ソ連/126分
[監督] アンドレイ・タルコフスキー
[主演] オレーグ・ヤンコフスキー、エルランド・ヨセフソン
★第36回 創造大賞
ノスタルジア

ソ連が生んだ世界的巨匠アンドレイ・タルコフスキーの長編第6作目。タルコフスキーが初めてソ連国外で製作した作品。水、光、霧、闇、火のタルコフスキー独特の詩的宇宙が、この作品では、従来のカラー作品の深く渋い色彩美にイタリア撮影技術の艶と鮮かさを加えて映像美の極致に達している。
イタリア中部のトスカーナ地方。詩人のアンドレイは、通訳のエウジェニアと共にモスクワからやって来た。目的は、18世紀にイタリアを放浪し故国に帰れば奴隷になると知りながら帰国し、自殺したロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を追うことだが、その旅ももう終わりに近づいていた。アンドレイが古都シエナの村まで来たのは、マドンナ・デル・パルトの聖母画を見たかったためだが、彼は車に残り、エウジェニアがひとり教会を訪れた。


1960年/イタリア/173分
[監督] フェデリコ・フェリーニ
[主演] マルチェロ・マストロヤンニ、アニタ・エクバーグ、アヌーク・エーメ
★第13回 グランプリ

甘い生活

ローマ上流社会の退廃を描きながら、高度経済成長下のイタリアの精神的不毛を見事に表現した作品。ここではストーリー以上にシンボリックな映像が観客に訴える。
作家志望の夢を抱いてローマに出た青年マルチェロは、今は社交界ゴシップ専門のトップ屋となった。ローマは退廃と無気力以外の何ものでもなかった。カトリックもキリストの像をヘリコプターで運ぶなど、華やかな示威をした。豪華なナイトクラブでは、大富豪の娘にめぐり会った。マルチェロと一夜を過ごすことも、彼女にとってはほんの気まぐれだった。彼はハリウッドのグラマー女優を迎えると、野外で狂乱の宵を過し、トレーヴィの泉で戯れた。或る夜、豪壮な館のパーティーに出たマルチェロは、歓楽をむさぼる貴族たちの仲間入りをし、自ら狂乱の中に没入した。夜明け、人々は快楽に疲れ果て海辺に出た。波打ち際に打ち上げられた怪魚は、腐敗し悪臭を放ち、彼らの姿そのものだった。


1984年/ドイツ・フランス/146分
[監督] ヴィム・ヴェンダース
[主演] ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー
★第37回 パルム・ドール
パリ・テキサス

テキサスを舞台にひとり放浪していた男が妻子と再会するがまた再び去ってゆく姿を描くロード・ムービーの最高傑作と言われる。原作は、脚本のサム・シェパードによるエッセイ「モーテル・クロニクルズ」。音楽はライ・クーダー。
テキサスの原野を一人の男が思いつめたように歩いている。彼はガソリン・スタンドに入り、倒れた。病院にかつぎこまれ、医者は一枚の名刺から男の弟ウォルトに電話することができた。男はトラヴィスといい、4年前に失踪したままになっていたのだ。病院から逃げ出したトラヴィスをウォルトが追うが、トラヴィスは記憶を喪失している様子だった。ウォルトは、さりげなく、妻ジェーンのこと、息子ハンターのことを聞くが、何も答えない。ただ、〈パリ、テキサス〉という、自分が買った地所のことを呟いた。そこは、砂しかないテキサスの荒地だが、父と母が初めて愛をかわした所だとトラヴィスは説明した。


1953年/日本/89分
[監督] 衣笠貞之助
[主演] 長谷川一夫、京マチ子、山形勲、黒川弥太郎
★第7回 グランプリ

地獄門

日本初のカンヌ映画祭グランプリ受賞作品であり、大映最初のカラー映画である。原作は、菊池寛の「袈裟と盛遠」。撮影は杉山公平、音楽監督を芥川也寸志がそれぞれつとめている。主演の京マチ子は出演作が次々と海外の映画祭で受賞し、「グランプリ女優」と言われた。
平清盛の厳島詣の留守中に起された平康の乱で、焼討をうけた御所から、平康忠は上皇と御妹上西門院を救うため身替りを立てて敵を欺いた。院の身替り袈裟の車を譲る遠藤武者盛遠は、敵をけちらして彼女を彼の兄盛忠の家に届けたが、袈裟の美しさに心を奪われた。清盛派の権臣の首が法性寺の山門地獄門に飾られ、盛遠は重囲を突破して厳島に急行した。かくて都に攻入った平氏は一挙に源氏を破り、乱は治った。袈裟に再会した盛遠は益々心をひかれ、清盛が望み通りの賞を与えると言った時、袈裟を乞うたが彼女は御所の侍渡辺渡の妻だった。しかし、彼女を忘れえない煩悩に苦しむ盛遠は・・・。


オールナイト上映(9月25日(土)のみ)

2007年/フランス/95分
[監督]マルジャン・サラトビ、ヴァンサン・バロノー
[声出演]キアラ・マストロヤンニ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ダニエル・ダリュー
★第60回 審査員賞

ペルセポリス

イラン出身のマルジャン・サトラピ監督自身による自伝的小説の映画化。1970年〜90年代の混迷するイランで、3代に渡る母娘の愛情と少女の激動の半生を描くアニメーション映画。キアラ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴという実際の母娘が声の出演。
1978年、テヘラン。9歳のマルジは、パパとママ、おばあちゃんに愛され、何不自由なく暮らしていた。そんなある日、革命により国王が倒れ、共和国樹立に国民は浮かれる。しかし、その後、イラクが攻撃し始め、戦争が勃発。人々は“風紀取締り警察”や空襲に怯えて暮らすようになった。1982年のそんな中にあっても、マルジはビージーズやアバに熱中。特にマルジは、派手なジャケットを着てアイアン・メイデンのテープを買いに行くなど、大胆な行動を続ける。現政権を讃える先生に反論したことから、マルジも反政府的だとして逮捕されてしまう。両親はマルジのため、彼女をウィーンに留学させることにする。


※「ペルセポリス」鑑賞の方はオールナイト券(前売3,000円、当日3,500円)が必要です。
1本のみ鑑賞の方もオールナイト券をご購入いただきます。 9月25日(土)22:00〜23:35の1回のみの上映となりますのでご了承ください。